交通事故における休業損害賠償請求のツボ

交通事故交通事故で被害に遭った際の損害賠償金としては、治療費、通院交通費、休業損害、慰謝料が中心となります。このうちよく問題になるのが休業損害と慰謝料となるわけですが、今回は休業損害について書いてみたいと思います。

休業損害賠償は、事故による負傷のために休業を余儀なくされ収入の減少となった場合に休業損害を補償するものです。給与所得者(会社や商店などにお勤めで給料をもらっている方、正社員のみならずパート、アルバイト勤務の方もこの対象になります)の場合は、通常事故前の3ヶ月間にいくら給料を支払ったか、事故のために休業をした日などについて、勤務先から休業損害証明書を出してもらい、その資料を基に計算されます。

休業損害証明書自賠責保険では、基本的に休業損害額は一日5,700円となっており、その金額以上の場合は立証資料があれば最大19,000円まで認められることになっています。
休業損害証明書には、前年度の源泉徴収票の写しを添付することが必要になりますが、勤務を開始して間がなく前年度の源泉徴収票がない場合は代わりに賃金台帳の写しを付けてもらうことになります。

基本的に事故の前3ヶ月(たとえば10月の事故であれば7月~9月ですね)に支払われた給与総額を単純に90日で割ったものを日額として計算するようになっています。しかし、例えば季節的な変動が大きいなどで3ヶ月のデータでは実態に合わない場合は過去1年間の賃金台帳などを求められることもあります。

給与所得者の場合はあまり問題になるケースが少ないのですが、個人事業所得者(自営業)の場合は基本的に前年度の確定申告書にある課税所得金額を基準にしますので、多くの場合は実態に合うことが少なくこの点でもめることがよくあります。
個人事業者の場合は休業損害証明書は自分自身で記入することになりますが、給与所得者と同様に休業損害証明書は提出する必要があります。

特に個人事業所得者の休業損害補償の損害額認定については保険会社と被害者がもめることが多いのですが、そのほとんどは実際の収入を証明する立証資料に乏しいことに原因があります。そこで我々調査業者に休業損害確認依頼が出されることもあるわけですが、資料が存在しないとなると大変に困ることとなります。

休業損害請求でおさえるべき点は

基本的には実際の休業による損害額を賠償することになるわけですから、その立証が出来る資料を用意しておかれることが重要になります。
もっとも実際にどの程度の休業損害額を認めるのかについて、我々は立場上わかりません。一般的には加害者側の保険会社担当者との交渉となるわけですが、保険会社担当者としても何も資料がないものについて対応することは出来ませんので、そういった資料が必要になるわけです。

よくあるケースでは、例えば職人さんが一人親方として自営されている場合などは、取引先への請求書(売上額を確認出来ます)などを用意しておかれることですね。そして売上代金が振込入金であれば通帳、現金での受け取りであれば発行した領収証の控えなど。あとは経費についての資料とかも必要になります。
個人事業の場合は事業を営むうえで当然経費もかかるわけですが、休業によって働けない期間は経費もかからないわけですから売上額から経費分は差し引かれるのは当然となります。しかし、働くことが出来なくても事務所の家賃など必要な固定経費は発生するのですから、それらについてきちんと説明出来る資料が必要ということですね。

主婦(あるいは主夫)の方で、家事全般を担っているものの、そのかたわらパートやアルバイト勤務をしているという方は多いでしょう。家事従事者については基本的に一日5,700円の休業損害が認められます。1ヶ月(30日)になおすと171,000円ですね。パート、アルバイト勤務をされている場合はやはりお勤め先から休業損害証明書を出してもらうわけですが、ほとんどの場合はパート、アルバイト勤務による収入より家事従事者としての休業損害日額のほうが大きいので特に問題になることは少ないようです。

では、休業日数についてはどうなるのかですが、これもよく問題になります。
入院中の場合はなんら問題ないのですが、通院治療の場合は症状によって一概に言えず、どこまでの期間を休業とみるかについてもめることとなります。労災保険の場合は休業給付にあたって休業期間について医師が証明するようになっていますので、本当であれば自賠責保険や自動車保険でも医師の証明を条件づけるともめるケースは少なくなるのではないかと思いますね。

なお、職場に復帰はしたものの、通院日には仕事を休むとか早退するとかなどの場合は、通院のために休んだもしくは早退、遅刻などで給料が減った分は休業損害証明書に記載してもらうことによって対応が可能になります。

休業損害はあくまでも休業によって損害が生じた場合に発生するものですから、たとえば不動産での家賃収入があるとかのいわゆる不労所得や休んでも給料の減額がない場合はそもそも損害が発生しないことになります。ただし有給休暇を使用した場合は、休業損害証明書に有給休暇を使用した旨を書いてもらうことによって対応することとなります。事故でケガをしなければ有給休暇を使うことはなかったわけですから、当然それに対しての補償をすることになります。

なお、被害者が法人の役員である場合は、基本的には法人の役員は役員報酬となっているため、役員が病気ケガで休んだ場合でも会社は役員に対して役員報酬を支払うよう義務付けられています。このため休業損害の発生はないことになっていまいます。しかし、大企業ならともかく小規模企業の代表者や役員であって、仕事を休むことによってたちまち売り上げに困り事業に大きな影響が出るというケースはよくあります。この場合は原則をふりかざすだけでは話になりませんので、被害者の寄与率などを確認して対応することとなります。


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