交通事故の慰謝料基準と通院治療の注意点

今回は交通事故(人身事故)における関心度の高い慰謝料と、関連する通院治療についての注意点について書いてみたいと思います。

事故解決(示談)の損害賠償金のうち最終的に気になるのが慰謝料を一体いくら見てくれるのか?にあると思いますが、慰謝料についてはこのような場合はいくらと明確に回答することは出来ません。

慰謝料の計算基準として、なぜか3種類の基準が存在しています。

■ 自賠責保険基準

自賠責基準については、入院は入院日数1日に対し4,200円の支払いとなっていますが、通院については治癒または治療終了までの期間と、その間に実際に通院した回数との関係で調整されるようになっており、通院開始から治癒もしくは治療終了までの期間と、その間に実際に病院に通院した日数を2倍した数字と総治療日数の60日の少ないほうに対して4,200円をかけることとなっています。

わかりやすく書いてみると、たとえば通院開始から治癒もしくは治療終了までの期間が2か月(60日)だったとして、その間に実際に病院に通院した日数が20回だった場合は、実際の通院日数を2倍した数字と総治療日数の60日の少ないほうに対して4,200円をかけることとなっていますので、実際に通院した日数が20日なので2倍すると40日となり、60日と比べると当然40のほうが少ないので、
(20×2=40)×4,200円=168,000円となります。

ところが通院回数が2か月間で40回に及んだという場合は、40日×2では80日となります。この場合は総治療日数の60日のほうが少ないので、60日分が頭打ちとなり、60×4,200円=252,000円となるわけです。

これに対して、保険会社としての「任意保険基準」、さらには弁護士が介入した場合に適用される「弁護士基準」があり、それぞれ自賠責保険の基準より高い金額になっています。弁護士案件となった場合は依頼者(被害者)は弁護士に対して報酬を支払うわけですから弁護士が示談した金額より手取りが少なくなるのは当然です。

では、「任意保険基準」と「弁護士基準」はいくらなのか、それは実は私にはわかりません。

なーんだ!と思われるかも知れませんが、仮にわかったとしても単純にその基準を単純に当てはめて終了というものではありませんので、休業損害なども含めてそこが示談交渉となるわけですね。

保険会社が慰謝料金額を提示するのは、いよいよ示談交渉という時点なので治療の終了(治癒もしくは治療終了)からとなります。
そうでないと、治療費がいくらかかったのか、実際の通院回数がどの程度だったのか、通院のために使った通院交通費などのわかりませんので損害賠償金の計算が出来ないからですね。

通院治療について、保険会社はいつまでの期間を認めてくれるのか?がよく問題になります。

事故形態、受けた衝撃の大きさはもちろんですが、症状については人それぞれ異なるのが当然で、過去のデータからこの程度の事故ならこのようなものだろうと類推するわけですが、そうは簡単にいかないのが実情です。

単純な骨折などであれば、骨がくっついた時点(骨癒合)から本格的なリハビリを開始し、一定期間リハビリを続けることによって医師もレントゲン画像などから状況を把握出来るのであまり問題になることはありません。しかし、いわゆる頸椎捻挫(以前でいうところのムチ打ち症ですね)や腰椎捻挫などの神経症がやっかいなもので、これについてはレントゲン画像などでの症状把握が出来ないことが多く、ほとんどは患者による症状の訴えに医師が応える形になります。とはいうものの、多くは単なるリハビリの継続と痛み止めや湿布の処方となり、患者も単にリハビリのために通院するのみで医師の診察を受けることもほとんどない実態もあります。

医療照会で医師との面談を行なった際に、「医師としては他覚的所見はないものの患者が痛みを訴えてくる以上それを拒否することは出来ない」と言われるのもやむを得ないと言えます。

こうなると、漫然と治療を続けているだけではないか?として保険会社も早めに治療打ち切りを切り出す形となります。

しかし、中には実際に通院治療を続けているが症状が改善されないケースもあります。このような場合は、医師に症状を訴えてなにか原因があるのではないかを探る必要があるでしょう。漫然とリハビリを続けても改善されないのなら、早く良くなる方向を目指すことが先決といえるでしょう。
レントゲンでわからないならCTやMRI検査を行なうなど突っ込んだ治療を進める方向性ですね。よほどのことがない限りこれらの検査について保険会社も否定は出来ないので自費の発生はないでしょう。

人間誰しも喜んで通院することはないですね。出来れば通院などしたくはないが痛みが引かないのでやむを得ず通院する。痛ければ痛みが和らぐよう通院し、少し改善されたら徐々に通院回数が減るのが自然というものでしょう。

特に他覚的所見もないのに何か月も漫然と頻繁に通院を続ける状態では説得力に欠けることになります。

交通事故については、よくあの人はこんなに賠償金をもらえたのに自分はこれだけなのか?などという話を聞くことがありますが、人それぞれに症状や環境が異なるわけですから単純に比較することは出来ません。また、いわゆるゴネ得というのもありません。

被害を受けた側は相手に対して正当な求償権があるわけですから、要求すべきものは要求するのが当然ですが、そのためには休業損害の立証と同じように治療についても保険会社や相手方弁護士に対向出来る材料を持つ必要があるということですね。


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