自賠責保険被害者請求について①

自賠責保険は、交通事故(人身事故)における被害者救済を目的として設けられた制度で、すべての自動車に契約が義務付けられている強制保険です。加害者車両の多くは損害保険会社で加入しているため自賠責保険としていますが、全労済などの協同組合で加入しているものを自賠責共済といいますが全く同じものです。

自賠責保険から支払われる限度額について簡単に説明すると、いわゆる怪我(傷害)部分については治療費や休業損害、慰謝料の合計で120万円、死亡事故の場合は3,000万円、後遺障害が残った場合は、その程度(後遺障害認定によります)に応じて75万円~4,000万円となっています。

自賠責保険被害者請求と仮渡金請求ってなんだ?

被害事故の多くは加害者側の過失割合が大きく、かつ加害車両が自動車保険(任意保険)に加入している場合は加入している損害保険会社が自賠責保険の支払い部分を立て替え払いして対応してくれますので特に問題はありません。自賠一括と称されています。

しかし、被害者側の過失割合が大きい場合(概ね50%以上)は相手方保険会社(共済)は自賠一括対応をしてくれません。また、相手が自動車保険(任意保険)に加入していない場合は、賠償金を支払ってもらえるケースがほとんどありません。これらの場合は被害者自身で保険会社(共済)に被害者請求をするしかありません。

ところが、この自賠責保険への被害者請求についてご存知ない方がけっこう多いこともあり、以前に被害事故に遭ったが前述のような理由で相手方からの対応がなされなかったため、自費で治療費を支払い済ませた。などのケースもありました。そこで、この項ではその被害者請求について少し書いていきたいと思います。

なお、自賠責保険への被害者請求の時効(請求の期限)は、2010年4月1日以降に発生した事故については、事故発生日から3年以内、死亡に至った場合は死亡日から、また後遺障害が発生した場合は、後遺障害の確定(症状固定)から3年以内となっていますので、直近の事故でなくても該当する場合は自賠責保険への被害者請求を検討されると良いでしょう。

また、直近に人身事故に遭ったが前述のケースに該当し、相手方からの対応がなされず困っている状態にあり、ケガの程度も比較的大きく当面の出費に困っているなどの場合は、とりあえずそのような事態に対応する「仮渡金の請求」をされると良いでしょう。

「仮渡金の請求」は、まさに当座の出費に困るという場合に対応するもので、自賠責保険金支払請求書、請求者本人の印鑑証明書(未成年者の場合は請求者も親権者となります)、診断書を自賠責保険加入保険会社に提出するだけで約1週間から10日程度で支払いを受けることが出来ます。

 

たとえば、

大腿や下肢の骨折の場合や、14日以上の入院があり治療に30日以上を要する場合は40万円

上腕または前腕の骨折、14日以上または入院を要して治療に30日以上を要する場合は20万円

単に治療に11日以上を要する場合は5万円

などとなっています。

また、死亡事故の場合は290万円となっています。

いずれも仮渡金の支払いを受けた場合は、最終的に被害者請求での賠償金から仮渡金として受け取った分は相殺されます。


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