自賠責保険被害者請求について②

それでは自賠責保険への被害者請求について具体的に説明していくこととしましょう。

自賠責保険被害者請求の流れと注意点

自賠責保険は、自動車損害賠償保険法という法律のもとに運営されている制度のため、各損害保険会社の引き受けになっているものの損害保険会社独自での判断が出来ず、損害保険会社は提出された書類を各都道府県の自賠責調査事務所に送り、そこでの調査終了後に損害額が認定され損害保険会社に支払額の指示がなされ、そこから支払いが行われるようになっています。

事故件数も多いことからその認定には時間がかかり、損害保険会社に書類を提出してから支払いを受けるまでに概ね1~2か月を要するのが実情となっています。さらに事故状況が複雑であったりすると自賠責調査事務所の調査に時間がかかり、もっと期間が長くなる場合もあります。

被害者請求については、一度だけではなく何度も請求が可能ですのでとりあえず早めに第一回目の請求を行なうことが大切でしょう。腕や足の骨折事案であれば前回記載した「仮渡金請求」を先に行うほうが良いかも知れません。

では、被害者請求をしなければならない状況になったとして、まずやらなければならないことは、

  • 事故証明書の交付依頼(おそらく警察官からも説明を受けられると思いますが専用の申請用紙があり、郵便局で支払うを1週間か10日程度で郵送されてきます。相手保険会社が事故証明書を取り付ける場合は保険会社に言って原本照合の事故証明書をもらうことも可能な場合もあります)
  • 自賠責保険加入保険会社から自賠責保険支払請求書(兼支払指図書)を取り付ける。(相手車自賠責加入保険会社の最寄りのサービスセンターや支社などでもらえるでしょう。自賠責保険の説明とセットになったものが用意されています)
  • 印鑑証明書入手(被害者が未成年者の場合は親権者となります)

であり、保険会社から入手した請求書類の中から診断書、診療報酬明細書用紙を病院の窓口に出して発行を依頼しておいてください。

病院は月末に締めて翌月に治療費の請求を起こしますので、書類が出来上がるのは平均的に翌月の中頃になります。健康保険や労災保険を使用した場合、病院から自賠責保険用の診療報酬明細書を出すことは出来ないと言われた場合は、被害者請求をするので診療報酬明細書は健康保険や労災保険に提出するものの写しを付けてもらえるよう窓口や担当者に依頼すると対応されると思います。

企業や商店などに勤務されている場合は、勤務先に休業損害証明書用紙を出して記入してもらうよう依頼しておいてください。その際、前年度の源泉徴収票の写しの添付が必要になりますが、勤務し出してから時間が経っていない場合は源泉徴収票そのものがないケースが多いので、その時は勤務開始以降の給与台帳の写しなどが必要となります。

個人事業主の場合は、自身で休業損害証明書を書くことになりますが、確定申告書の写しが必要になります。基本的には確定申告書にある収入額を基に休業損害が計算されることになります。

家事従事者(主婦あるいは主夫)の場合は、基本的に同居家族の証明となる住民票が必要となります。念のため住民票を取っておかれるほうが良いと思います。また、家事従事者としての傍らパートやアルバイト勤務をしている場合は勤務先から休業損害証明書を出してもらい、そこから計算する休業損害額と家事従事者としての休業損害額(日額5,700円)を比較して多いほうを取る形になります。

休業日数の認定については自賠責調査事務所の決定によりますので、自身の判断とは必ずしも一致しません。

なお、事故証明書や印鑑証明、住民票などの取付時にかかった費用の領収書、病院での治療費領収証、診断書、診療報酬明細書発行にかかる文書料などの領収書はかならず保管しておいてください。自賠責保険請求時に必要になります。

また、たとえば足を骨折して通院の際にタクシーを利用した場合は、必ず領収書を取っておいてください。

当面はこれらの用意をして自賠責保険被害者請求を行なうことになりますが、事故発生が月末近くなどの場合は概ね翌月分と合わせて診断書、診療報酬明細書を取る形が多くなります。そうすると早くても翌々月でないと被害者請求が出来ませんので、前述のように腕や足の骨折などの事案の場合はとりあえず「仮渡金請求」を行なったほうがよいことになります。

次回はもう少し掘り下げて書いてみたいと思います。


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